治療方法「心理療法」
治療方法「心理療法」
うつ病とは「継続的に気分が落ち込み、思考・行動が停滞することにより、日常生活や社会生活における機能に障害を引き起こす疾患」です。発症にはストレスが関与していることが多いと言われていて、ストレスには心理的なストレス(人間関係のトラブル、いじめ、死別、トラウマ体験など)、社会的なストレス(過重労働、経済的困難、転居、社会的孤立など)、身体的なストレス(慢性的な病気やケガなど)があります。
またうつ病の症状には、過度な自己否定や罪悪感(すべて自分が悪い、こうなった原因はすべて自分にあるなど)、悲観的な思考(どうせ何事もうまくいくはずがないなど)、希死念慮(死にたいと考えるなど)といった特徴的な精神症状がみられます。
うつ病の心理療法では、上記のような症状につながるその人特有の感情や思考、行動、人間関係のパターンなどを振り返り、変化を促すことで再発予防を目指します。心理療法を受けることで、思考や行動の習慣、対人関係、環境へのかかわり方に変化が生まれ、また自分なりの対処方略を見つけられるようにしていきます。
その人の過去の体験や無意識に焦点を当てて深いレベルでの感情や思考の変化を促す力動的な心理療法など、心理療法にはさまざまな種類がありますが、ここではうつ病の心理療法としては真っ先に挙がりやすい「認知行動療法」についてご紹介します。
認知行動療法とは
生きている限り、私たちは常に私たちが置かれている状況や環境を判断し続けています。元気な時は判断もバランス良くできるものですが、強いストレスを受けている時やうつ状態におちいっているときにはバランスが崩れ、悲観的な思考に傾いてしまったり、不安が必要以上に強まったりしてしまいます。よく生じやすいバランスの崩れた思考は以下のようなものです。
- 全か無か思考:物事を白か黒かなど、どちらかにはっきりさせないと気が済まない、完璧を求める極端な思考
- 一般化のしすぎ:一つの事実から全てそうだと一般化し、この先もずっとそうに違いないと否定的な結論を下す
- 拡大解釈と過小評価:欠点や失敗を過剰に取り上げ、長所や成功を過小に評価する
認知行動療法では、自動思考と呼ばれる、気持ちが落ち込んだ時や不安が高まった時に生じやすいその人特有の思考に目を向け、それがどの程度現実と食い違っているかを検証し、思考のバランスをとっていきます。
また、このような「認知」へのアプローチに加えて、「行動」へのアプローチも行います。うつ状態の時は活動性が落ちています。あまりに意欲が落ちている時には休養も大事ですが、少し元気が出てきたときには、少しずつ達成感や楽しみを感じられる行動を増やしながら、以前のような生活に戻していくことが重要です。
これまで述べてきたように認知行動療法では、認知面と行動面にアプローチすることによって、うつ病による気分の落ち込みや活動性の低下などを改善していきます。
うつ病になると否定的な認知におちいりやすいことは最初に述べましたが、もともと否定的な認知におちいりやすい人がうつ病になりやすいとも言われています。それだからこそ、日頃から自分自身の認知に気づくことは、うつ病の発症や再発の防止にもつながるのです。